採用ホームページ.jp
応募の一歩手前 シリーズ 約7分で読めます

「採用ページを作らない」という判断に、私が賛成した日

山根 弘行
山根 弘行
株式会社HRFreaks 代表 / Chief Consultant|人材業界20年
作成後に大切に手入れされ育つ木のイラスト
— この記事の要点

首都圏と東北で物流・製造業を営む企業様は、今年すでに、新しい高卒向けの求人サービスの導入とパンフレットの刷新を同時に始めていました。

打ち合わせでは、採用特設ページ(LP)の制作について、「さらにLPを足すと、どの施策が効いたか分かりにくくなる」として見送りを申し出られました。

私はその理由に深く納得し、見送るというご判断を了承しました。

※実際の打ち合わせをもとに、会社が特定されないよう一部を変えています。

採用活動を強化しようとするとき、新しい施策を同時に複数進めたくなる企業は少なくありません。しかし、一気に多くの変数を動かすと、結果が出たときに「何が決定打だったのか」を検証できなくなります。今年は既存施策の検証に集中するという先方の判断は、非常に理にかなっていました。人事目線で採用の現場を見てきたからこそ共感した、施策の優先順位と「作らない判断」の重要性についてお伝えします。

新しい施策を重ねると「検証」ができない

採用難が続く中、予算が確保できると「やれることはすべてやりたい」と思うのは自然な心理です。特に、採用目標の人数が多い場合や、前年の採用が思うようにいかなかった場合は、焦りから複数の施策に手を出してしまいがちです。

しかし、新しい施策を3つも4つも同時に走らせるのは、非常にもったいないやり方です。もし応募が劇的に増えたとしても、「どの施策に投資したから増えたのか」が分かりません。逆に、応募がまったく来なかった場合も、何が原因で失敗したのかを特定できなくなります。

人事として採用計画を立てるとき、各施策の費用対効果を振り返る作業は欠かせません。変数が多すぎると「全体としてなんとなくうまくいった」というざっくりとした結論しか出せず、来年の予算をどこに重点配分すべきかが分からなくなってしまうのです。

今回の企業様は、「高卒向け求人サービスの導入」と「パンフレットの刷新」という2つの施策をすでに進めていました。これだけでも、どちらの施策がどれだけ応募に寄与したかを正確に測るのは簡単ではありません。ここに「採用特設ページの制作」という3つ目の変数を加えれば、効果検証はさらに難しくなります。

だからこそ、「今年はすでにある施策の検証に集中する」という見送りの判断は、的確なものでした。

ターゲットの行動特性から逆算する

先方の見立てが優れていた理由はもう一つあります。それは、ターゲットの行動特性をしっかり分析されていたことです。

先方の分析によると、自社に応募してくる生徒は「先生に言われたから」「職場見学で良さそうだったから」という動機が多いとのことでした。複数の会社のホームページを隅々まで比較して、自分で応募先を決めるタイプは少ないという見立てです。

これは非常に冷静な分析です。採用担当者としては最新のWeb施策を取り入れたくなるものですが、ターゲットが実際にどう動いているかを見誤ると、施策は空振りに終わります。この行動特性を踏まえれば、まずはパンフレットの刷新など、既存の接点を強化することに注力するのは正しい判断だと私は考えます。

限られた予算と労力は、ターゲットに最も響く場所に投下すべきだからです。

採用施策は、ターゲットがどう動くかから逆算しなければ機能しません。

人事としての経験から見ても、この優先順位のつけ方は非常に理にかなっています。

「作らない」という判断が次につながる

もちろん、永遠にホームページの整備が不要というわけではありません。私は見送りを了承しつつも、次のような考えをお伝えしました。

「これまでと違う層に訴求するには、採用ページの整備は必要になります」

自らWebで検索して企業を探す層にアプローチするには、やはり受け皿となるページが欠かせないからです。

これに対して、先方の広報担当の方からも「Webに遷移先をつくる課題は残る」という補足をいただきました。

今年の施策の効果を測り、どの接点が弱かったのかを見極める。その結果を踏まえて、来年以降の打ち手を考える。その段階で初めて、「採用サイトの整備」が本当に必要な施策として立ち上がってきます。

人事目線で採用起点のサービスを作る

もし私が、Web制作会社や広告会社の営業であれば、「せっかくの機会ですから作りましょう」と食い下がっていたかもしれません。制作を請け負うことが目的であれば、作らない判断はただの「失注」だからです。

しかし、私は人事として16年、大型の大量採用を現場で経験してきました。さらにコンサルタントとして3年間、お客様の中に入り込んで採用を支援してきました。

私たちの目的は、採用サイトを作ることではなく、お客様の採用活動を成功させることです。人事目線で見れば、不要なタイミングでの投資は避けるべきだと私は考えます。作る側が「今は作らない」と支持できるかどうかが、長期的な信頼関係の土台になります。

今後、私たちは採用ホームページの枠を超えて、採用起点のサービス領域へ広げていくことを検討しています。例えば、採用サイトと連動した「応募受付LINEシステム(仮称・検討中)」や、採用を主体とした集客を行う「SNS自動投稿ツール(仮称・検討中)」などです。

こうした構想も、形にできたときには、導入のタイミングを見極め、効果を検証しながら運用してこそ活きるものだと考えています。

明日からできること

御社が現在、複数の採用施策を検討されているなら、一度立ち止まって整理してみることをお勧めします。

1
進行中の施策をリストアップする
今年新しく始める施策と、変更を加える施策をすべて書き出します。
2
検証可能か確認する
結果が出たときに「どの施策のおかげか」を判断できるか、変数の数をチェックします。
3
優先順位の低いものは見送る
ターゲットの行動特性に合わないものは、優先順位を下げて来年以降に見送ります。

採用活動は、一つひとつの施策の仮説を立て、実行し、検証する地道なサイクルの積み重ねです。

私は人事として16年、大型の大量採用を現場でやってきました。限られた予算と時間の中で、本当に効果のある施策を見極める難しさは痛いほどわかります。だからこそ、現場の状況を冷静に分析し、「今年は検証に集中するために見送る」という引き算の決断ができる担当者様を、私は心から尊敬します。売って終わりではなく、採用活動のPDCAを共に回すパートナーでありたいと考えています。

いまの採用サイトの現在地を確かめたい方へ。1分の無料診断では、8つの質問に答えるだけで、いまの採用サイトの状態をその場でスコア表示します。30分の個別相談では、実際のサイトを見たうえで、何から直すべきかを率直にお伝えします。私たちの「採用ホームページ.jp」は、初期費用0円・月額29,000円(税別・スタータープラン)からです。契約期間は1年(自動更新)です。途中で解約する場合は、残りの月数分の月額の50%をいただきます(詳しくは特定商取引法に基づく表記)。公開後の簡易更新(お知らせの追加や、既存の文章の差し替え)は月1回まで無料で、超過は1回5,000円(税別)、更新箇所は限定です。年1回のフルモデルチェンジまで月額に含みます。営業の押し売りはしません。公式LINEの友だち追加で、求職者255人調査「生成AI利用と応募行動」のレポートPDFをお送りしています(LINEで受け取る)。

— RELATED