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高校生向けの採用ページで、ゴールを「応募」にしなかった理由

山根 弘行
山根 弘行
株式会社HRFreaks 代表 / Chief Consultant|人材業界20年
ゴールではなく未来の道を見据える高校生の姿
— この記事の要点

横浜と仙台に拠点を持つ、物流・製造系の会社との打ち合わせでした。テーマは、高校生向けの採用ページをどう作るかです。

話を進める中で、ひとつの前提を確認しました。高卒採用では、職場見学も含めて学校の先生を通してやり取りをします。会社と生徒が直接連絡を取ることはありません。

そこで、このページは応募を受け付ける場所ではなく、「応募を促すコンテンツ」と位置づけて設計を考えました。

実際の打ち合わせをもとに、会社が特定されないよう社名などは伏せています。

高校生向けの採用ページでは、ページの上で応募は起きません。応募の窓口は学校の先生だからです。ページが担うのは、生徒が「この会社を見に行きたい」と思えるだけの仕事理解をつくることです。ここを取り違えて応募数で成果を測ると、ページの良し悪しを正しく判断できなくなります。

高卒採用では、応募はページの外で起きる

大卒や中途の採用ページでは、多くの場合、エントリーボタンを押してもらうことがゴールになります。ところが高卒採用は、流れの組み立てが違います。

打ち合わせで整理した流れは、次のとおりです。

1
求人サービスで原稿を見る
求人サービスに載った原稿で、会社の存在を知ります。
2
採用ページで会社を理解する
原稿だけでは伝わりにくい会社や仕事の中身を、ページで確かめます。
3
先生を通して職場見学へ
見学も、会社と生徒の直接のやり取りではなく、先生を通して進みます。

採用ページが担うのは、2番目の「理解」の段階です。ページにエントリーボタンを置いても、そこから応募が届く流れにはなっていません。

だからこそ、このページを「応募を促すコンテンツ」と位置づけました。言い換えれば、応募を受ける場所ではなく、職場見学に行きたくなる気持ちを育てる場所です。

この考え方は、応募は媒体の「ゴール」、採用サイトは「アシスト」で書いたことと通じます。高卒採用では、その役割分担がよりはっきり表れると私は考えています。

高校生向けの採用ページは、応募を受ける場所ではない。
見学に来たくなる理解を、つくる場所だ。

応募制限期も灯りを灯し続ける灯台のイメージ

応募してはいけない期間も、ページは残す

打ち合わせでは、もうひとつ確認したことがあります。3月から6月末までは、応募してはいけない期間にあたるという点です。

この期間の扱いとして確認したのは、次の3点でした。

ここで大事なのは3つ目です。ボタンを消しても、ページを止める必要はありません。仕事の中身を伝えるページとしては、そのまま働き続けられます。

応募できない期間でも、生徒は進路のことを考えているはずです。その時期に仕事の様子が分かるページがあれば、後の判断材料になると私は考えています。

もしゴールを応募に置いていたら、この期間のページは「成果ゼロ」に見えてしまいます。ゴールの置き方ひとつで、同じページの評価が変わるということです。

製造や倉庫の仕事は、高校生にイメージが湧かない

では、理解をつくるために何を伝えるのか。打ち合わせで共有した方針は、仕事のイメージに振り切ることでした。

製造や倉庫の仕事は、高校生にはイメージが湧きにくい仕事です。求人原稿に「製造スタッフ」「倉庫内作業」と書いてあっても、一日の動きまでは浮かびにくいと思います。

想像できない仕事を、わざわざ見に行こうとは思いにくいものです。反対に「こういう作業をするのか」「これなら自分にもできそうだ」と思えれば、見学への関心につながると考えています。

たとえば、こうした内容が考えられます。

どれも、職場見学で生徒が確かめたくなりそうなことです。ページで先に知っておけば、見学の時間をより具体的な質問に使えるはずです。

表面的な数字の天秤と本質を見失う様子の比喩

応募数で測ると、判断を誤る

ゴールを取り違えたまま成果を測ると、何が起きるか。仮にページを公開して数か月たち、ページ経由の応募がゼロだったとします。応募数で見れば「効果がなかった」という結論になります。

しかし高卒採用では、もともとページ経由で応募が届く流れになっていません。ゼロは失敗ではなく、仕組みどおりの結果です。この数字だけを見てページを作り直したり、やめたりすると、判断を誤ります。

私なら、たとえば次のような点を見ます。

どれも、アクセス解析だけでは分かりません。見学を担当する社員が、現場で生徒の様子を聞き取ることが欠かせません。

私は人事として16年、大量採用の現場に立ってきました。その後3年間、コンサルタントとしてお客様の採用の中に入ってきました。その中で学んだのは、採用の成果は「どこで判断が起きるか」から逆算して測る、ということです。高卒採用で判断が起きる場所は、ページの上ではなく、先生との相談と職場見学です。

ページ経由の応募がゼロでも、失敗とは限らない。
測る物差しを、採用の仕組みに合わせる。

山根のひとこと

Web制作の目線だけで考えると、どうしてもエントリーボタンを目立たせたくなります。ボタンを押してもらうことが、分かりやすい成果だからです。

でも採用の流れから考えると、高卒採用ではそれが当てはまりません。誰が、どこで、どの順番で判断するのか。そこを知っているかどうかで、同じ採用ページでも設計は大きく変わります。私たちが採用を起点にページを考えたいのは、こういう違いがあるからです。

なお、この案件はその後、制作は見送りになりました。それでも、ここで考えた設計の前提は、高卒採用に取り組む会社の参考になると思い、記事に残しています。

明日からできること

高校生向けの採用ページを持っている、またはこれから作る予定の会社は、次の3つを確かめてみてください。

1
エントリーボタンと表記を確認する
応募してはいけない期間にボタンが出ていないか。「◯卒」の表記に誤りがないかも、あわせて見ます。
2
仕事の一日を書き出してみる
出勤から退勤までを、高校生が読んで想像できる言葉で書けるか試します。書けない部分が、ページに足りない部分です。
3
見学担当者に一言お願いする
次の職場見学で、生徒がページを見てきたか、何を知っていたかを聞いてもらいます。それが、御社のページの成果を測る最初の材料になります。

御社の採用ページのゴールが、採用の仕組みと合っているか。一度見直してみてください。採用サイトは「応募の一歩手前」を設計する場所という考え方も、あわせて参考にしていただければと思います。

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