高校生向けの採用ページで、
ゴールを「応募」にしなかった理由

- 高卒採用は応募も職場見学も学校の先生経由。採用ページの上で応募は起きない
- ページの役割は、職場見学に来たくなる「仕事の理解」をつくること
- 応募数で成果を測ると判断を誤る。見学の申し込みと仕事理解で見る
横浜と仙台に拠点を持つ、物流・製造系の会社との打ち合わせでした。テーマは、高校生向けの採用ページをどう作るかです。
話を進める中で、ひとつの前提を確認しました。高卒採用では、職場見学も含めて学校の先生を通してやり取りをします。会社と生徒が直接連絡を取ることはありません。
そこで、このページは応募を受け付ける場所ではなく、「応募を促すコンテンツ」と位置づけて設計を考えました。
実際の打ち合わせをもとに、会社が特定されないよう社名などは伏せています。
高校生向けの採用ページでは、ページの上で応募は起きません。応募の窓口は学校の先生だからです。ページが担うのは、生徒が「この会社を見に行きたい」と思えるだけの仕事理解をつくることです。ここを取り違えて応募数で成果を測ると、ページの良し悪しを正しく判断できなくなります。
高卒採用では、応募はページの外で起きる
大卒や中途の採用ページでは、多くの場合、エントリーボタンを押してもらうことがゴールになります。ところが高卒採用は、流れの組み立てが違います。
打ち合わせで整理した流れは、次のとおりです。
採用ページが担うのは、2番目の「理解」の段階です。ページにエントリーボタンを置いても、そこから応募が届く流れにはなっていません。
だからこそ、このページを「応募を促すコンテンツ」と位置づけました。言い換えれば、応募を受ける場所ではなく、職場見学に行きたくなる気持ちを育てる場所です。
この考え方は、応募は媒体の「ゴール」、採用サイトは「アシスト」で書いたことと通じます。高卒採用では、その役割分担がよりはっきり表れると私は考えています。
高校生向けの採用ページは、応募を受ける場所ではない。
見学に来たくなる理解を、つくる場所だ。

応募してはいけない期間も、ページは残す
打ち合わせでは、もうひとつ確認したことがあります。3月から6月末までは、応募してはいけない期間にあたるという点です。
この期間の扱いとして確認したのは、次の3点でした。
- エントリーボタンを消す
- 「◯卒」という表記に注意する
- ページ自体は、仕事理解のページとして残す
ここで大事なのは3つ目です。ボタンを消しても、ページを止める必要はありません。仕事の中身を伝えるページとしては、そのまま働き続けられます。
応募できない期間でも、生徒は進路のことを考えているはずです。その時期に仕事の様子が分かるページがあれば、後の判断材料になると私は考えています。
もしゴールを応募に置いていたら、この期間のページは「成果ゼロ」に見えてしまいます。ゴールの置き方ひとつで、同じページの評価が変わるということです。
製造や倉庫の仕事は、高校生にイメージが湧かない
では、理解をつくるために何を伝えるのか。打ち合わせで共有した方針は、仕事のイメージに振り切ることでした。
製造や倉庫の仕事は、高校生にはイメージが湧きにくい仕事です。求人原稿に「製造スタッフ」「倉庫内作業」と書いてあっても、一日の動きまでは浮かびにくいと思います。
想像できない仕事を、わざわざ見に行こうとは思いにくいものです。反対に「こういう作業をするのか」「これなら自分にもできそうだ」と思えれば、見学への関心につながると考えています。
たとえば、こうした内容が考えられます。
- 出勤してから帰るまでの、一日の流れ
- 扱うものや、使う道具・機械の様子
- 入社して最初のうちに覚えること
- 実際に働く社員の姿
どれも、職場見学で生徒が確かめたくなりそうなことです。ページで先に知っておけば、見学の時間をより具体的な質問に使えるはずです。

応募数で測ると、判断を誤る
ゴールを取り違えたまま成果を測ると、何が起きるか。仮にページを公開して数か月たち、ページ経由の応募がゼロだったとします。応募数で見れば「効果がなかった」という結論になります。
しかし高卒採用では、もともとページ経由で応募が届く流れになっていません。ゼロは失敗ではなく、仕組みどおりの結果です。この数字だけを見てページを作り直したり、やめたりすると、判断を誤ります。
私なら、たとえば次のような点を見ます。
- 先生を通じた職場見学の申し込みに、変化があったか
- 見学に来た生徒が、仕事の流れをある程度知っていたか
- 見学の場での生徒の質問が、具体的になったか
どれも、アクセス解析だけでは分かりません。見学を担当する社員が、現場で生徒の様子を聞き取ることが欠かせません。
私は人事として16年、大量採用の現場に立ってきました。その後3年間、コンサルタントとしてお客様の採用の中に入ってきました。その中で学んだのは、採用の成果は「どこで判断が起きるか」から逆算して測る、ということです。高卒採用で判断が起きる場所は、ページの上ではなく、先生との相談と職場見学です。
ページ経由の応募がゼロでも、失敗とは限らない。
測る物差しを、採用の仕組みに合わせる。
山根のひとこと
Web制作の目線だけで考えると、どうしてもエントリーボタンを目立たせたくなります。ボタンを押してもらうことが、分かりやすい成果だからです。
でも採用の流れから考えると、高卒採用ではそれが当てはまりません。誰が、どこで、どの順番で判断するのか。そこを知っているかどうかで、同じ採用ページでも設計は大きく変わります。私たちが採用を起点にページを考えたいのは、こういう違いがあるからです。
なお、この案件はその後、制作は見送りになりました。それでも、ここで考えた設計の前提は、高卒採用に取り組む会社の参考になると思い、記事に残しています。
明日からできること
高校生向けの採用ページを持っている、またはこれから作る予定の会社は、次の3つを確かめてみてください。
御社の採用ページのゴールが、採用の仕組みと合っているか。一度見直してみてください。採用サイトは「応募の一歩手前」を設計する場所という考え方も、あわせて参考にしていただければと思います。
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