フリー素材の笑顔は、
なぜ見抜かれやすいのか

- 素材写真の問題は、御社の事実を示していないこと。面接や職場見学で実物と照らされ、ズレが見抜かれることがある。
- 素材が向くのは、人や職場が写らない背景や装飾。「働く人」「職場」「仕事の場面」を示す場所だけは、自社の写真にする。
- 撮影は、手持ちのスマホ写真から始められる。基準は、本当にその場所で撮った写真かどうか。
ある会社の採用担当の方から、サイトのご相談をいただいたときのことです。画面を見せてもらうと、トップに大きな写真がありました。白い会議室で、若い男女が5人、ノートパソコンを囲んで笑っています。
「素敵な写真ですね」と申し上げると、その方は少し困った顔で笑いました。「あれ、素材なんです。うちにあんな会議室はありません」。
そして、こう続けました。先日の面接で、応募者から「サイトに出ていた会議室は、どこにあるんですか」と聞かれたそうです。「どう答えていいか、分かりませんでした」。
※採用支援の現場で見聞きする状況をもとに再構成した場面です。特定の個人・企業の事例ではありません。
採用サイトの写真は、「この会社の写真かどうか」で見られます。応募者は、サイトで見た写真を頭に入れたまま、面接や職場見学に来ることがあります。そこで実物と違えば、写真は飾りだったと分かってしまいます。ここでいう素材写真は、フリー素材サイトや写真販売サイトで手に入る、誰でも使える写真です。
写真は、文章より先に読まれます
私が見てきた範囲では、採用サイトを開いたとき、最初に目に入るのは文章より写真です。文章は、読むか読まないかを選べます。写真は、開いた瞬間に入ってきます。
サイトそのものも、応募の前に見られています。私が見てきた例では、サイトが新しい会社と古いままの会社で、応募率に大きな差が出ているものがありました。ここでいう応募率は、求人票のページを見た人のうち、応募した人の割合です。差の原因がサイトだけとは言い切れません。ただ、サイトの新しさや作りが、応募の一歩手前で見られている目安の一つだと考えています。
求職者が写真から読み取ろうとしているのは、給与や休日の外側にあるものが多いです。職場の空気、人との距離感、仕事の手触りです。この部分は、求人票では伝わりません(求人票では伝わらないものを、どう見せるかで書きました)。ここでは、その写真が素材だった場合に絞ります。
応募しなかった人が何を思ったかは、御社には届きません。届くのは、面接や職場見学まで来た人の一言が中心です。冒頭の場面の「会議室はどこにあるんですか」は、そうして届く一言の例です。
求職者が写真を確かめる場面は、多くの場合、2つあります。応募前のサイトと、面接や職場見学での実物です。写真と実物が一致していれば、その場で信頼が積み上がりやすくなります。ずれていれば、減りやすくなります。
私は以前、技術派遣の新卒採用で、採用担当者200名規模を束ねる立場にいました。面接や職場見学は、会社が見せた姿と実物が、応募者の目で照らし合わされる場になることがあります。

素材写真が見抜かれやすい、2つのズレ
素材写真は、御社の事実とずれることがあります。ズレは2つあります。
飾りのつもりの一枚は、
実物と照らされたとき、ズレが見抜かれやすい。
サイトを見た時点では、求職者が素材だと気づいていないこともあります。残るのは、「なんとなく、想像する職場と合わない」という感覚かもしれません。その感覚は、面接や職場見学で実物を見たときに、「サイトと違う」という確信に変わることがあります。
では、素材写真は全部やめるべきか
やめる必要はありません。写真がページで担う役割は3つあり、素材で足りる役割もあります。役割ごとに、素材か自社の写真かを決めます。
判断の基準は1つです。その写真は、御社の事実を示しているか。示す場所には事実を、示さない場所には素材を置きます。
一言添えると、写真は「事実」に近づきます
費用のかからない工夫があります。写真の下に、場所と場面を一言添えます。「○○工場・朝8時の朝礼」「本社2階・打ち合わせスペース」のような書き方です。
一言添えるだけで、写真は「雰囲気」から「事実」に近づきます。場所と時間を書けるのは、実際にそこで撮った人だけだからです。素材写真には、この一言が付けられません。付ければ、事実と違うことを書くことになります。

素材を選んでしまう理由
私が見てきた範囲では、素材が選ばれる主な理由は、撮る手間です。文章は担当者1人で書けますが、写真は他人の時間と同意がないと撮れません。手間は次の3つです。
- 写る社員の時間を、止めてもらう——撮影日は、写る人の仕事が止まります。その調整が、担当者1人にのしかかります。
- 顔を出せない社員がいる——「全員が撮れないなら、素材で」という結論になりがちです。
- 撮っていい場所の線引きを、誰も持っていない——取引先の敷地、来客や患者さんの写り込みなど、撮れない場所は業種ごとに違います。決める人がいなければ、素材が一番安全な選択になります。
「素材のほうが、きれいで見栄えがするのでは」
見栄えは、サイトを開いた瞬間に伝わります。信頼は、面接や職場見学で実物と照らされたときに、左右されることがあります。きれいさで得たものを、その場で返すことになりかねません。
「自社で撮ると、見栄えが落ちるのではないか」
本当にその場所の写真なら、多少粗くても使えます。プロに頼むのは、その次で足ります。
私は以前、広報ブランディング室を立ち上げ、グループの新卒・中途採用を統括する立場にいました。その立場で見てきた範囲では、採用サイトの写真は最後に決まる部分で、後回しにされがちです。文章や色は後から直せますが、実際の職場は、撮りに行かなければ手に入らないからです。だから、素材で埋まりがちです。素材を使うこと自体は、責めません。ただ、事実を示す場所だけは、素材のまま残さないでください。
明日できること:手持ちの写真から始める
作り直しを考える前に、次の3つを試してください。撮影会社に頼む必要はありません。
① 今のサイトの写真を、全部並べて分ける
トップ、会社紹介、社員紹介、募集要項の写真を一覧にします。それぞれを「自社で撮った」「素材」「分からない」に分けます。「分からない」が出たら、その写真は誰の判断で置かれたのかを確認します。決めた人が分からない写真は、差し替えを決める人も決まっていません。
② 「事実を示す場所」に使われた素材に、印をつける
働く人、職場、仕事の場面に素材が使われている箇所に印をつけます。そこが、最初に置き換える写真です。全部を一度に替える必要はありません。まず1枚から始めます。
③ 社員のスマホの中から、職場の写真を探す
新しく撮る前に、すでにある写真を探します。探すのは、作業の様子、朝の職場、道具、入口などです。本当にその場所で撮った写真かどうかを見てください。
新しく撮るときは、面接に来る人が歩く順番で撮ると、抜けが出にくくなります。入口、受付、廊下、事務所、休憩スペースの順です。訪れた人が最初に見る場所が、そのまま写真の並びになります。
人を撮るときは、全員をカメラの前に並べず、仕事中の一瞬を撮ります。全員が同じ角度で笑う写真は、自社で撮っても作りものに見えやすくなります。
人が写る場合は、載せる範囲と期間を、事前に本人へ確認してください。断っても不利益がないことを伝えたうえで、同意を得ます。確認した内容は、メールなどで残しておくと後で困りません。退職したときの差し替えまで、あらかじめ話しておくと、後のやり取りが楽になります。
私の経験では、社員への顔出しのお願いは、頼み方で結果が変わります。事務的に頼むと、7〜8割に断られました。そこで私は、先にサイトの趣旨、リニューアルの背景、サイトにかける思いをお話ししてきました。そのうえで「あなたが模範となる仕事をされているから、あなたのような人を採用したい」と熱意を伝えました。すると、7〜8割の方が引き受けてくれました。もちろん、引き受けるかどうかは本人が決めることです。断られた場合は、重ねてお願いせず、その方は載せないでください。撮るときは、顔が写らない手元や後ろ姿のカットも混ぜておくと、辞退や退職があっても差し替えやすくなります。顔を出せない社員が多い会社の撮り方は、別の回で書きます。
②で印をつけた素材のうち1枚を、③で見つけた自社の写真に差し替えてください。見つからなければ、その場所を手元のスマホで1枚撮ります。
写真から見直す前に、サイト全体の現在地を確かめたい方へ。1分の無料診断では、8つの質問に答えるだけで、いまの採用サイトの状態をその場でスコア表示します。30分の個別相談では、実際のサイトを見たうえで、何から直すべきかを率直にお伝えします。私たちの「採用ホームページ.jp」は、初期費用0円・月額29,000円(税別・スタータープラン)からです。契約期間は1年(自動更新)です。途中で解約する場合は、残りの月数分の月額の50%をいただきます(詳しくは特定商取引法に基づく表記)。公開後の簡易更新(お知らせの追加や、既存の文章の差し替え)は月1回まで無料で、超過は1回5,000円(税別)、更新箇所は限定です。年1回のフルモデルチェンジまで月額に含みます。営業の押し売りはしません。
