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AIの情報で応募をやめた45人では、理由1位は「悪い評判」より「情報の少なさ」

山根 弘行
山根 弘行
株式会社HRFreaks 代表 / Chief Consultant|人材業界20年
情報の少なさに戸惑い立ち止まる求職者
— この記事の要点

求職者が応募を踏みとどまる理由として、まず「悪い評判を見たから」を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、当社の採用AIO研究所の調査では、さらに手前に大きな理由があることが分かりました。それは「情報が少なくて不安になること」です。20代の求職者を対象にしたデータから、企業が優先して開示するべき情報をお伝えします。

応募をやめた45人では「悪い評判」よりも「情報がないこと」が上位に

先日、採用AIO研究所で20代の求職者を対象にインターネット調査を行いました。直近1年以内に就職・転職活動をした21〜29歳の方、255人に聞いたものです。(採用AIO研究所調べ:2026年9月28日〜10月3日実施)

調査では、企業を調べるために生成AIを利用した71人に「AIの情報をきっかけに、応募をやめたり辞退したりした経験があるか」を尋ねました。その結果、45人(63.4%)が「ある」と回答しています。

注目したいのは、彼らが応募をやめた「理由」です。複数回答で上位に挙がったのは、次の項目でした。

1位
情報が少なく不安になった(64.4%)
2位
給与・待遇が合わないと分かった(48.9%)
3位
ネガティブな評判(46.7%)

応募をやめた経験がある45人という少人数のデータではありますが、1位は「悪い評判」ではなく、「情報の少なさ」でした。

採用の現場では、口コミサイトに悪いことが書かれていないかを気にする声をよく聞きます。たしかにネガティブな評判も46.7%と影響があります。一方で、それ以上に「会社の情報が少なすぎる」ことが、求職者の不安につながっている実態が見えてきます。

今回の調査で応募をやめた45人では、「悪い情報があること」以上に「情報がないこと」が理由に挙がりました。

予備情報から公式サイトの扉へ向かう人物

AIで調べた71人の76.1%が、その後公式サイトを見たと回答

私はこれまで、技術派遣の新卒採用で年間2,000名規模の責任者を務め、その後グループ全管掌で年間7,000名規模の採用に携わってきました。人事として16年現場を見てきた経験からも、求職者が「情報が少なくて不安になる」という心理はよく分かります。どんな仕事をするのか、いくらもらえるのかが分からないまま応募へ進むのは、心理的なハードルが高い行動です。

今回の調査(対象255人)では、企業を調べるのに使った手段(複数回答)も聞いています。検索エンジン(41.2%)、公式サイト(38.4%)、求人媒体(34.5%)、口コミサイト(31.8%)に次いで、生成AIは27.8%(71人)でした。

そしてAIで企業を調べた71人のうち、「AIで調べたあと、その企業の公式サイトを見た」と答えた人は76.1%に上ります。(選択肢「必ず」40.8%、「だいたい」35.2%の合計)

さらに、応募をやめた経験がある45人に絞ると、選択肢「必ず見た」と答えた人の割合は55.6%でした。今回の調査では、AIで調べた71人の多くが、その後に公式サイトも見たと回答しています。

何を書けばいいのか。AIへの質問が手がかりになる

では、求職者を不安にさせないために、公式サイトの採用ページには何を書けばよいのでしょうか。

その手がかりは、今回の調査結果にあります。AIを利用した71人が、企業について「AIに何を聞いたか」のランキングです。

AIで企業を調べた71人が多く聞いていたのは、事業内容、給与、選考の流れ、働き方といった、基本的な情報です。

たとえば給与です。求人票に大まかな記載があっても、各種手当の詳細や昇給のイメージなどが採用ページに書かれていないと、入社後の生活を具体的に想像しにくくなります。

選考の流れも同様です。面接が何回あるのか、筆記試験はあるのかといったステップが分からないと、働きながら転職活動をしている人はスケジュールの見通しが立たず、不安に感じることもあります。

空白のパズルに足りないピースを埋める手

まずは「書いていないこと」を埋める作業から

採用サイトを新しくしようとすると、デザインを洗練させたり、キャッチコピーを作り込んだりすることに目が向きがちです。

しかし、コンサルタントとして3年間企業の中に入り込んできた知見からすると、まずは「求職者が知りたい基本情報が、過不足なく書かれているか」の点検をおすすめします。

ネット上の悪い評判を消したり書き換えたりするのは容易ではありません。しかし、「自社サイトに書いていないことを書く」のは、自社の努力で進められることです。

事業内容を分かりやすい言葉で説明する。手当や休日の詳細を載せる。面接から内定までの具体的なステップを書く。こうして地道に情報を公開していくことが、口コミ対策の前に打つべき手だと考えます。

ぜひ一度、求職者の視点に立って、御社の採用サイトを読み直してみてください。AIに聞かれやすい「事業内容・給与・選考の流れ・働き方」の項目で、情報が不足している箇所がないか、チェックすることから始めましょう。

山根のひとこと

人事として大量採用に向き合ってきた中で、求職者の「見えない不安」をどう取り除くかは常に大きなテーマでした。人事目線で「求職者が本当に知りたいことは何か」を第一に考えるという姿勢は変わりません。

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