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あえて人を写さない。派遣会社に見えないサイトの作り方

山根 弘行
山根 弘行
株式会社HRFreaks 代表 / Chief Consultant|人材業界20年
作成後に大切に手入れされ育つ木のイラスト
— この記事の要点

「できれば、派遣会社っぽく見せたくないんです」

「人物写真を大きく使うと、なんだか古く見える気がして」

※実際の打ち合わせをもとに、会社が特定されないよう一部を変えています。

人材サービスのホームページといえば、笑顔のスタッフや、オフィスでパソコンに向かう人物写真が定番です。しかし、私たちが手がけたコーポレートサイトの制作では、人がパソコンを触る写真を撤去しました。そして「仕組み」を主役にした表現へと切り替えています。あえて人を写さないという引き算の設計から、採用サイトにも通じる「何を主役にするか」の考え方についてお伝えします。

「よくある派遣会社」から抜け出すための引き算

人材系グループの持株会社と事業会社2社のサイトを制作しました。

プロジェクトを進める中で、先方との共通方針として挙がったのが「派遣会社っぽく見せない」ということでした。

私は人材業界に20年以上身を置き、求人広告代理店での媒体営業も経験しました。その経験から見ても、人材サービスのサイトは「人」を前面に出しがちです。

「人が商品」というビジネスの特性上、スーツ姿のスタッフが微笑む写真に頼るケースが多くなります。親身に相談に乗る営業担当者の写真や、パソコンを操作しているフリー素材もよく使われます。

しかし、こうした写真を並べるほど、他社との違いが見えにくくなってしまいます。求職者や顧客から見れば、どのサイトも同じような印象になり、「よくある派遣会社」の枠に収まる懸念がありました。

そこで私たちは、人がパソコンを触るようなありがちな写真を撤去し、人を写さない表現を取り入れる方針を固めました。

主役を「人」から「デジタルな仕組み」へ入れ替える

人を前面に出さない代わりに、サイトの主役に据えたのは「仕組み」です。

例えば、人がパソコンを操作している写真を使うのではなく、画面を角度をつけて並べるデジタルな表現へと変更しました。

また、サービスの仕組みを説明する図解についても工夫を凝らしています。

説明の文字をぎっしりと詰め込んだ複雑な図は使わず、全体像が直感的に伝わる概念イメージ1点に絞り込みました。

さらに、「ワンストップで何でも対応します」といった強い言い切りも外しています。

企業としては「何でもできる」とアピールしたくなるものです。しかし、お客様によっては、サービスの一部だけを部分的に依頼したいケースもあるためです。

1
写真を削る
ありがちな人物写真を撤去し、画面を角度をつけて並べる。
2
文字を削る
図解に文字を詰め込まず、直感的な概念イメージ1点に絞る。
3
言葉を削る
「ワンストップ」という万能な言葉を外し、一部だけを依頼したいお客様にも配慮する。

風呂敷を広げすぎず、あえて情報を絞り込むことで、その企業が持つサービスの輪郭を鮮明にする意図を持たせました。

何を足すかよりも、何を削るか。
情報を引き算することで、企業の強みの輪郭が見えてきます。

AI検索を見据え、企業の構造を正しく伝える工夫

今回の制作では、見た目のデザインだけでなく、掲載する情報にも一つの工夫を入れています。それは、各社の会社概要ページに「グループの関係図」を入れたことです。

これは、人間の閲覧者に企業の成り立ちを分かりやすく伝えるためだけではありません。

現在、求職者や顧客が企業を調べる際、対話型生成AIを使うケースが増えています。AIはウェブ上の情報を読み取って回答を生成します。その際、グループ企業同士の関係性が曖昧だと、リスクがあります。どの会社が何の役割を担っているのか、混同されてしまう可能性があるからです。

そこで、AIに各社の役割とグループ構造を正しく認識してもらうために関係図を配置しました。

今後の検索行動の変化を見据え、企業情報を適切に読み取ってもらうための下ごしらえです。

採用サイトにも通じる「主役を絞る」という考え方

この「主役を絞り、不要なものを削る」という考え方は、採用ホームページの制作にもそのまま当てはまります。

私は人事として16年、大型の大量採用を現場でやってきました。技術派遣の新卒採用を立ち上げ、年間2,000名規模の責任者を務めました。その後は本部長執行役員として、グループ全体で年間7,000名規模の採用を管掌しました。

そして直近の3年間は、コンサルタントとしてお客様の中に入り込み、採用の仕組みづくりをご支援してきました。

こうした経験から私が見てきた範囲では、情報を盛り込みすぎて主役がぼやけている採用サイトは少なくありません。

会社の魅力、仕事のやりがい、充実した福利厚生、先輩社員の熱いメッセージ。あれもこれもと詰め込んだ結果、何が一番の強みなのかが伝わらず、求職者の印象に残りにくくなってしまうことがあります。

自社の強みを際立たせるためには、「言わないこと」を決める勇気が必要です。

これは先ほどのコーポレートサイト制作で「ワンストップ」という言葉を削ったのと同じです。誰にでも当てはまるような耳障りの良い言葉を削ることで、本当に来てほしい人材に向けたメッセージが際立ちます。

人事目線でつくる、採用起点の仕組みづくり

私たちHRFreaksは、Web制作会社や広告会社の目線ではなく、人事の目線から採用起点のサービスを作れることを強みとしています。

現在、私たちは採用ホームページの制作にとどまらず、新たな領域へサービスを広げていく準備を進めています。

具体的には、採用ホームページと連動した応募LINE構築や、応募者管理システムの提供を構想しています。また、採用を主体としたマーケティング・集客システム(仮称:HR-オートメーション)も構想・検討中です。

これらは、将来的には自動で集客を行う仕組みの実現を目指して検討中のものです。しかし、どのようなシステムを導入するにしても、大事な土台があります。それは「自社の本当の強みを定義し、シンプルに伝えること」に他なりません。

私の経験では、情報が整理されていないサイトにどれだけ人を集めても、採用には結びつきにくいからです。

御社のホームページには、明確な「主役」が存在しているでしょうか。よくある他社と同じような情報を並べただけのサイトになっていないか、ぜひ一度、客観的な視点で見直してみてください。

「うちにはこれといった強みがない」とおっしゃる経営者の方は多いです。しかし、お客様から選ばれ続けている理由、社員が辞めずに残っている理由があるはずです。それを言葉にして、サイトの「主役」に据えるお手伝いをさせてください。

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